参考文献
この記事は以下の書籍を参考にして作られています。
大企業からの転職者の向き不向き
スタートアップに転職を希望するひとの志望理由は、金太郎あめのように皆さん画一的でした。
その志望理由は、このまま大企業で働いた場合の将来的なスキル面での不安です。
しかしスタートアップは即戦力を求めているので、お勉強したいひとを採用する余裕はありません。
スキルアップしたいという目的に対して、スタートアップに転職するという手段は、論理が矛盾していて、わたしはおすすめしません。
スタートアップは自分たちが掲げているビジョンに共感し、一緒にがんばれるひとを求めています。
スタートアップを検討する際には、自分が将来実現したい世界に近いビジョンを掲げているかどうかを、という観点で選ぶといいと思います。
実際にあった転職の失敗例
ある失敗事例をご紹介します。
彼は、大企業からエンジニアとして転職してきました。しかし、技術的についていけずに、まともな成果を出せず、数カ月で退職しました。一般的なイメージのとおり、AIスタートアップのエンジニアは、労働時間に占めるコーディング業務の比率が大きいです。彼はスキルを得たいという志望理由で入社しました。
大企業在籍中は、実際にコーディング業務をしたことがありませんでしたが、独学でコーディングを学び、縁説でもアルゴリズムの開発ができると内容を盛って話し、入社してきました。入社後、彼は、わたしと同じプロジェクトを担当することになりました。
スタートアップでは当然入社後の研修などはありません。
結局彼はそのスタートアップでは誰よりも簡単なコーディング業務を任されたのにも関わらず、一か月経ってもまったく成果が出せずに会社を去っていきました。
これをうけて会社では面接時にコーディング試験が導入されるようになりました。
彼のような失敗は本人にとってもスタートアップにとっても不幸な結果でしかありません。
彼の転職はメンタル的にもキャリア的にも傷がついてしまうため、もっときっちり志望理由について真剣に考えるべきだと思います。
大企業からスタートアップを志望する際の注意点は、スタートアップは初心者状態からスキルをトレーニングする時間を与えてくれないということです。
最初からそれなりに高いレベルのアウトプットを求められ、さらにそのレベルを継続的に向上させることを求められます。
スキルに自信のないひとが、スキルアップを目的に転職する場所ではありません。
実際の転職体験談
ここからはわたしの実際にした体験談をお話します。
大企業でのもやもや
大企業で働いていたときには、将来に漠然とした不安を感じていました。
その不安とは二点。
ひとつは、スキルについてです。大企業で働くと、プロジェクトの管理業務が多くなってきます。大企業で働く若手の一般的な悩みのひとつが「自分の市場価値に直結するスキルが得られない」ということです。
マネジメントや管理業務は、その企業特有の観衆やルールに従うものも多く、他の企業では活かせない知識、ノウハウが多いです。わたし自身、事務処理にかなりの時間を割かれていました。
当時、IT業界では、大企業よりもスタートアップを選んだほうがいい、組織に頼らず個人の力をつけたほうがいい、という風潮が強くなっていました。多くの大企業が業績が落ちてきていたころでお先真っ暗という状況でした。
このままスキルを持たないまま40歳以上になると、その後会社に見捨てられ、かなり年収を下げて働くという未来に対する危機感がありました。
社会の流れに反して、大したスキルが得られない管理業務を中心にこのまま年齢を重ねるのが自分にとって正解か、という悩みを常に悶々と抱えていました。
二つ目の不安は、ロールモデルについてです。自分が目標とするべきキャリアを歩んでいる先達・先輩のことです。
しかしわたしの先輩に、わたしのロールモデルになりうるようなひとはいませんでした。
わたしがパッと思い描く、IT業界で成功したロールモデルの大部分は、起業家です。
しかも彼らは創業から2~3年で上場していますs。
世の中のニーズに合ったアイデアを持っていてうまく時流に乗れば、創業から数年で上場までできる時代に、10年後の自分の理想像が大企業の社員であるはずがありませんでした。
転職活動をしてみる
このまま大企業で働いていても10年後には大したスキルが身に着くわけでもなく、なんの魅力もない自分になってしまう自分の姿が見えてしまいました。
当然それはわたしの理想とはかけ離れていました。
こうしてわたしは退職を決意しました。
わたしは確定的に訪れる理想的ではない未来よりも、リスクを取ってでも前に進むことをわたしは選びました。
起業も選択肢にはありましたが、賭けるテーマが思いつかなかったため、まずは転職活動をはじめました。
転職活動はかなり面白かったです。
世の中で求められている人材や、自分の市場価値を知ることができます。
転職の意向がないひとでも、転職エージェントと話すと視野を広げることができると思います。
転職エージェントに教えてもらったことは、大手電機メーカーに勤務する20代後半~30代前半のエンジニアの年収は、スキル・経験と比較すると年収が非常に安いということでした。
わたしと似た立場のエンジニアは、年収は数百万円アップで転職できることが多いと言われました。
大企業で管理業務しかしない仕事は面白くありませんでしたが、実は得られるスキルとしてそれなりに価値があるということを知りました。
プロジェクトのマネジメントスキルや企画経験を持ったITエンジニアとしてのわたしは、ある程度自由に会社を選べる状況でした。
しかし、大企業での10年後の自分が見えたわたしにとっては、たとえ年収がアップしたとしても、似たような他の大企業に転職するという選択肢は考えていませんでした。
その中で転職エージェントに紹介されたのが、とあるAIスタートアップでした。
ちょうどメディアで有名になり始めていた企業だったので、話だけでも聞いてみようと思い、面接を申し込みました。
すると、いきなり代表との面談だったのですが、なんとその場で内定をもらいました。
初めて外部からの採用で、5人目の社員でした。
スタートアップに転職を果たす
社長を含めて全員が年下で、立場的には最年長のおじさんでした。
大企業では若手扱いでも、スタートアップやベンチャーに行くとベテランになるというのは、よくあることだと思います。
目安としては、大企業の年次から、10~15歳くらいを足すと、ベンチャーの年次の間隔に近くなると思います。
たとえば、40~45歳の大企業の社員と、30歳のベンチャー社員が同じくらいの扱いになるイメージです。
意外かもしれませんが、まだ数名のスタートアップに入るのは簡単です。
理由はふたつあります。
ひとつは、創業メンバーがまだ会社の将来に自信がないことです。
自分の会社に入社したいと言ってくれるような熱量の高い人材がいれば、ほぼ断りません。
わたしも、大企業の安定を捨ててまで入社を志望していたので、面接は非常にスムーズでした。
ふたつ目が、創業者含め、スタートアップの操業メンバーは面接の経験が少なく、ひとを見る目が養われていないという点です。
職務経歴書は自分をよく見せようとするため、かなり内容を盛って書かれてありますが、まだ若い創業者メンバーたちは、そのことをそのまま鵜呑みにしてしまいます。
スタートアップの創業メンバーは非常に賢い反面、そういった人生経験が大きく欠けていることがあります。
その後にさまざまな転職者の失敗を目の当たりにした経営陣は、順調に増える採用希望者を前に、コーディング試験を実施したり、書類審査をより厳しくするようになっていきました。
スタートアップのやりがい
わたしが最初に任された案件は、スタートアップの業務が忙しく、なんと放置されていた案件でした。
それをひとりで任されたのです。
まさに即戦力として任されたのです。
それは大企業時代では味わえなかったしびれる状況でした。
自分に求められた役割としては単純で、この状況からプロジェクトを成功させることです。
これくらいの振られ方で仕事を進めるイメージができる方は、スタートアップに向いていると思います。
クライアントとの折衝、アルゴリズムの開発、開発物の権利化など、単純に開発だけに集中できるものでもなく、多方面にわたるリスクがありました。
相手方に役員が出てくるようなプロジェクトは説明資料も必要だし、コミュニケーションも面倒くさいのは、社会人を経験したことがあれば共感していただけると思います。
さいわい、わたしはこれまでのキャリアで、自分がいればとりあえずプロジェクトが回るという自負はあったので、労働時間は長いものの、なんとかプロジェクトを軌道に乗せることができました。
実用化に目処がたってからは、プロジェクトメンバーも増員され、私もいつの間にか(辞令もなく)マネージャーの肩書になっていました。
大企業から自分は特に変わっていないのに、AIスタートアップに所属しているというだけで高い技術力を持っているとみなされました。
相手から尊敬・畏怖のまなざしを受けることは、不思議で個人的に納得いかなかったです。
このように、スタートアップの仕事は、自分の責任範囲が大きく、経験も積めるしやりがいもあるものだと思います。
あなたも転職活動の準備を
いかがだったでしょうか?
今回はとあるスタートアップへの転職経験者のお話を掲載してみました。
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